四季彩辞典ー夏 7月

7月 濃い青:藍色(インディゴ)

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1990 年代半ばになって、若い世代の間で浴衣が人気となり、第二次世界大戦来、斜陽 の一途をたどっているかのようだった呉服業界に新たな期待をよんでいる。現代の浴衣は、色も模様もバリエーションが豊かで、洋服のデザイナーがデザインし たブランド浴衣も人気がある。しかし、浴衣で連想するのはやはり藍染ではないだろうか。浴衣は、平安時代に上層階級の人々が入浴の際に纏う湯帷子という麻 衣が始まりだったが、江戸時代初期の頃には庶民の夏の普段着になっており、洗濯がきき、日光に強く、虫除けにもなるという実用面から木綿の藍染が一般的に なった。窮屈なイメージのきものであるが、袖口や首まわりが圧迫されず、特に浴衣は素肌に直接着る気軽さが人気の秘訣かもしれない。寒色の藍色が涼を添え るのはいうまでもない。

藍染めは太古の時代から世界中に伝わる染色法で、日本の歴史上でも、高い位の衣の色としては記録がなく奢侈禁止令でも規制されていなかったので、時代や 身分の高低を問わず広く親しまれた色である。また、藍は日本を代表する色として知られ、別名「ジャパニーズブルー」ともよばれる。一般的に広く使われてい た藍染は、何度も染を繰り返すことで見事な藍色になるのだが、染の段階により、ユニークな名前がついている。初期の段階のほんの少し青みが感じさせる色を 「白殺し」、染料の瓶をちょっとくぐっただけ、という意味の「瓶覗」、さらに「浅葱」「縹」「藍」「紺」と濃くなっていく。インディゴは、インド産の藍で 染めた色のことで、紀元前2000年頃エジプトに伝わったものが、ローマ帝国盛期にindicumの名でヨーロッパに伝わった。

ブルージーンズは、アメリカの開拓時代に、リーバイス・ストラウスが馬車の幌布で作業用の丈夫なズボンを縫い、蝮除けにインディゴで染めたものが始まりである。

 

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