「パヴァロッティ 太陽のテノール」
実は彼のオペラを通しで観たのは、「愛の妙薬」だけ。
しかもレーザーディスクで(時代ですね。この件については後述します)。
LDは舞台鑑賞とは違い、アップで表情を観ることができます。
ツウが評価するような気の利いたことは言えないのですが、
まあ、とにかく表現力のある人だと思いました。
お人好しで、馬鹿にされていいように騙される
ネモリーノという役なのですが、
「どうしてそこで信じちゃうの!?」
「だーかーらー」
「健気…😢」
と観ながら本気で怒ったり心配したりしていましたね。
ネモリーノではなくパヴァロッティ自身がマヌケに思えてしまうような、
そんな演技でした。
この映画のインタビューの中で、
「素朴でお人好しなネモリーネが一番彼らしい役だ」
というコメントがあり、私は唯一観たのが「愛の妙薬」であることを
幸運に思います。
印象的なのは、ダイアナ王妃と心が通じ合う部分…
以下ネタバレです。
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ロンドンでの屋外チャリティコンサートは、土砂降りの日でした。
それでも傘をさして大勢の聴衆が参加します。
そのうち聴衆の後方から、舞台が観えないとブーイングが出始めたため、
「できれば傘を閉じて雨を感じながら聴いてください」
とアナウンスがあると、最初に傘を閉じたのはダイアナ妃でした。
そしてパヴァロッティが
「殿下のお許しがあれば、ダイアナ妃にこの歌を捧げたい」
歌ったのが
「見たことのない美人」(プッチーニ / 「マノン・レスコー」)
この時の出会いがきっかけで、パヴァロッティはチャリティ公演を
するようになります。
ドキュメンタリーとは思えない、映画の名シーンのようです。
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2人とも、スキャンダルを起こしながらも人を惹きつけるキャラクターで、
その舞台の上と座席の距離で、「同志」とピンとくるものが
あったのだろうな、と感じさせられるシーンです。
また、一世を風靡した三大テノールの公演。
「そのうち観に行こう」
と思っているうちに、観ることができなくなりました。
一週間の中(Sunday、Monday、Tuesday…)に
「Someday」はないことをしみじみ感じました。
さて、私が唯一通しで観た彼の作品「愛の妙薬」。
これは、たまたま見つけた隣の自治体主催の
「オペラの楽しみ」
という数回の講座ででした。
小学校が会場で、音大出身の先生お二人が主宰でした。
先生は、始まる前からアリアを口ずさみながら、
「ああ、今日は楽しみだなぁ 🎶」
と本当に嬉しそうに準備をなさっているのです。
機材も、私物の古くなったものを学校に寄付したものだそう。
時々子どもや同僚の先生方を集めては、鑑賞会をしているとか。
音楽の授業がこんなだったら、私たちはどんなに心が豊かに
なるのだろう、と感じずにはいられませんでした。