自宅待機中、SNSでは本の紹介や昔の写真などを紹介することが
流行っています。
バトンといって、次の紹介者を指名する形式なのですが、
それもいかがなものか、と自分でルールを変える人もいます。
でも、知らないものに触れるチャンスでなかなか面白い。
また、自分自身もその本を読んでいた当時のことなどを思い出す
いい機会になっています。
私の小学生時代を形成した思い出の本。
それは
「世界名作怪奇館」(講談社)
日本編、世界編、ミステリー編、SF編…
など、いくつかのジャンルに分かれた8冊くらいの全集でした。
ハードカバーで装丁も重厚で、タダモノではないオーラに惹きつけられて
手に取ったのが始まりでした。
今思うと、ポーやアイリッシュ(コーネル・ウールリッチ)、
江戸川乱歩など、国内外のミステリー作品のみならず、サキやディケンズ、
上田秋成や小泉八雲、今昔物語などの文学と言われるジャンルからの
出典もありました。
本好きな母も一緒に繰り返し読んでいたので、今でも妹と私と母とでは
作品やセリフ、挿絵に至るまで、この本の思い出話が尽きません。
後に、「トータル・リコール」の原作者が、母娘で今だに話題になる
「にせもの」という作品のディックだと知り、へぇーっと盛り上がれるのも
読書の付加価値と言えるでしょう。
また、江戸川乱歩の「鏡地獄」の挿絵(片山健氏)がそれはそれは素晴らしく、
幼い頃の妹は、恐ろしさのあまり挿絵を見ないようにして本を読むほどでした。
というものの、こういう趣味がマイノリティだとは潜在意識下で
感じてはいたので、同志を求めるなんて気はさらさらなかったのですが、
なんと、
宮部みゆき氏の対談で「世界名作怪奇館」が
登場するではありませんか。
■東京創元社のミステリーマガジン
http://www.webmysteries.jp/archives/12246569.html
” ●子供たちへ” の項
彼女も「他に借りる人がいなかったから本を独り占めできた」と
述べているので、同じ小学校でなくてよかったと思います。
当時の先生というと、本は偉人伝とか戦争ものとか可哀想な話とかを
読ませたがったので、繰り返しこの全集を借りる私を
苦虫を噛み潰したような顔でよく見ていました。
文学書の出典もある、と知ると急に「良書」に変わるのだろうな。
と意地悪く考える汚れっちまった私です。
母は純粋に自分が楽しんでいました。
「子どもの興味を尊重して共有することがタイセツ❤︎」
などとしたり顔で言うような母でなくて本当によかった。
今はライトノベル風の装丁で近いものが再販されているようですが、
やはりあの装丁、イラストでないとダメ。
中古で高値が付いているので、老後の道楽に入手しようかと
妹と画策しています。