ずっと欲しかった花

 

ずっと気になっていた名前もわからない花があった。

 

 

いわゆる雑草といわれる、野生の植物のようで、

見かけるのは、出先の道端だったり原っぱだっり畑の隅だったり…

 

 

見つけた時に引っこ抜いて持って帰ればよいのだけど、

結構高さもあるし、裸で持ち歩くわけにもいかない。

生えている場所が、もしかしたら私有地かも、

という微妙なところ。

 

見るたびに「欲しいな」と思っていた。

花壇や花屋さんで似た花を見るけれど、でもやっぱり違う。
カタバミやタンポポのように、どこでも見かけるわけでもない。

 

あの花がいいのだ。

手に入りそうで、既のところで逃してしまう

ノヴァーリスの「青い花」のような幻想なのか。

 

でも、バーベナに似ているから、そこから何か分かるかも、

と調べたら、

「三尺バーヴェナ(ヤナギハナガサ )」

という名前に行き着いた。

私はヤナギハナガサ の名前の方が好き。

本当にインターネットはありがたい。

それでも路肩で引っこ抜いて帰る勇気はなかった。

 

この度の外出自粛で、植物を育ててみようと思い始めた。

もしやと思って、ネットで調べると、

 

苗を売っているではないか!

 

私はずっと謎の湿疹や蕁麻疹に悩まされている。

(もう当たり前になっていて、たいして悩んでいないかも)

指圧の先生に、菌に触れる機会として土いじりを勧められていた。

旅行で家を空けたり、育てる環境がよくないから、

今ある植物で精一杯、とやらない理由をつけて聞き流していたが、

 

これは天の采配かもしれない。

やっと手に入れた苗は、びっくりするほど貧弱だ。

 

でも、私は成長して花を咲かせた姿を知っている。
この苗が成長した時、世の中はどうなっているのか。

 

ノヴァーリスの「青い花」は、

メーテルリンクの「青い鳥」を彷彿させるモチーフであり、

「青」という色は、明らかに存在するのに現実に手に入れにくいもの

(空や海の色)の象徴のように私は考えている。

ヤナギハナガサ は紫だから手に入れることが叶ったのか。

 

 

雨が上がったら、鉢に植え替えよう。